宅建試験勉強 債務不履行・同時履行・履行遅滞・損害賠償・契約解除・手付・解約手付

債務不履行・同時履行・履行遅滞・損害賠償・契約解除・手付・解約手付 民法等の法律テキスト

宅建士合格を目指す仲間の助けになる 民法等の法律・権利関係 を解りやすくまとめたテキスト

債務不履行・同時履行の抗弁権・履行遅滞・損害賠償の範囲と予定・契約解除・勧告解除・手付・解約手付による解除 について


民法等の法律

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契約を実現する段階の問題(売買契約時) 5

債務不履行・契約解除・手付 ~契約が守られないとき~

同時履行の抗弁権

売買契約などのように 双方が義務を負う双務契約おいて

双方の義務は 同時に果たさなければならない関係にある。それが公平だから。

これを同時履行の関係という。

家の引き渡しと登記の移転をする人と お金を支払う人が

同時に履行する関係があり 権利もある。

そして 双方が主張できる権利を 同時履行の抗弁権という。

お金を支払えとか 登記の移転をしろとか 主張(拒む・返還・言う)する権利がある。


債務不履行

それぞれの負っている義務を果たさないことを 債務不履行という。

債務とは 義務のこと。 履行とは 義務を果たすこと。

したがって 債務不履行とは 契約などから生じた義務を果たさないこと。

相手方が債務不履行に陥れば その効果として原則

損害賠償請求がされるし 契約解除になることもある。

なお債務不履行による解除は 債務者の責めに帰すべき事由は不要になる。


債務不履行は 3タイプ

a、履行遅滞 : 引渡し等が遅れてしまうこと

b、履行不能 : 履行ができないこと

c、不完全履行 : 履行したが不完全なこと


履行遅滞の要件

1、履行は可能だが 履行すべき時期(タイミング)に遅れた

履行時期は 3つ

ア、確定期限ある債務 : 期限の到来時(例・10月1日に引き渡す)

イ、不確定期限ある債務 : 期限の到来後債務者が履行の請求を受けた時または

期限の到来を知った時の どちらか早い時(例・父が死んだら)

ウ、期限の定めのない債務 : 債権者が履行の請求をした時(例・引渡し時期を定めない)


2、遅滞が違法である。

この場合は 自分の義務を果たさないで 相手方だけを非難することは不当だから

相手方の履行遅滞の責任の追及をするために 自分の義務をあらかじめ果たすことによって

相手方の同時履行の抗弁権を封じておく必要がある。


履行遅滞の効果

原則として 相手方に相当の期間を定めて催告(さいこく)をし

その期間内に履行されなければ 契約の解除ができる。

ただし 債権者は債務者に対して 損害賠償請求できるが

災害による場合は社会通念に照らして債務者の責めに

帰することができない事由によって生じたものであるときは 損害賠償請求できない。


履行不能の要件

履行期に 履行が不能であることが その要件。

債務者が履行できないときは原則として 損害賠償請求をする。

また 契約解除できるが 履行不能に基づく解除の場合は

相当な期限を定めた勧告が不要であり ただちに解除できる。


損害賠償の範囲と予定等

債務不履行に対する損害賠償の請求の目的は それによって通常生ずべき

損害(債務不履行と相当因果関係にある損害)の賠償をさせること。

そして 相当性の判断にあたっては通常の事情のほか

債務者が債務不履行のときに予見すべきであった特別の事情を基礎とする。


また 債務不履行または これによる損害の発生やその拡大に関して

債権者に過失があったときは 裁判所はこれを考慮して損害賠償の責任及びその額を定め

この過失相殺は 債務者からの主張がなくとも 裁判所が職権で請求できる。

紛争に備えて 損害賠償の予定もできる。

なお 違約金は 損害賠償額の予定と推定される。



契約の解除

契約解除は 3のパターン

ア、法定解除 : 要件を満たせば解除でき 法律によって決められている

イ、約定解除 : 特約など当事者が契約(特約)によって解除権を設定する

ウ、合意解除 : 双方合意の下で破棄する


解除の方法

解除の意思表示とは 解除権を有する者は 相手方の承諾がなくても解除できる

このように一方的な意思表示で 法律的な効果が生じる権利を 形成権という。

また 一度解除の意思表示をしたら 撤回できない。

さらに 当事者の一方が複数いるときは 解除は全員から または全員に対して行うこと。

これを解除不可分の原則という。

複数いる当事者の1人について解除権が消滅した場合は 他の者の解除権も消滅する。


勧告解除と 無勧告解除

債権者は 次のような場合は 勧告をせずに 直ちに契約の解除ができる

ア、債務の全部の履行が不能であるとき

イ、債務者が その債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき 等


解除の効果

当事者間での効果

不動産の売買契約をした Kと Pとの間では 最初からなかったことになる。

そこで 一部を支払っていた場合は 受け取っていたお金を全て返すことを 原状回復という。

つまり 契約を解除すると原状回復義務が生じる。そして 原状回復義務は 同時履行の関係にある。


また 契約が解除されたとき金銭を受け取った方は 受領の時からの利息を付けて返還することになる。

同様に 買った家の引渡しを受けていた方は その家だけでなく

その引渡しを受けた時以後に生じた果実や 使用利益も返還することになる。

なお 解除をしても損害が発生していれば 損害賠償も請求できる。


第三者に対する効果

民法では 先ほどのKP間の 契約関係をなかったことにならない。

解除によって解除前の第三者である Hの権利を害することはできないとなる。

そこで Hの権利が保護される要件として 登記などの対抗要件を備えていること

また Hの保護には Hの善意・悪意は無関係になる。


解除権の消滅

解除権を行使できる期間は その定めがなく 解除権を有する方が解除しない時は

その相手方からは 相当の期間を定めて「解除するか否か」を勧告できる。

そして その期間内に解除の通知を受けないとき 解除権は消滅する。



手付

手付とは 売買契約等を結んだときに 相手方に支払うお金など。


手付の性質

手付には 交付する目的によって ア、証約手付 イ、解約手付 ウ、違約手付の 3種類

ア、証約手付 : 契約が成立した証として支払う手付

イ、解約手付 : その手付によって契約解除できる手付(約定解除権の設定を意味する)

ウ、違約手付 : 約束違反の場合に没収される手付

このように当事者が その手付の意味を決めたない時は イ、解約手付と推定される。


解約手付による解除

手付解除の方法

a、売主が解除する場合は 倍返し

b、買主が解除する場合は 手付の放棄を行うこと

なぜなら 売主は 手付をもらっているので 倍返しになるが

買主は すでに手付を払っているので 放棄だけになる。


手付解除の時期

「 相手方が履行に着手するまで 」であれば 解除ができる。

履行の着手とは 契約から生じた義務を行うこと。

逆に 自分が履行に着手していたとしても

相手方が履行に着手していない限りは 手付解除ができる


手付解除の効果

手付によって解除をしても 債務不履行による解除ではないので 損害賠償の請求はできない。

逆に 損害賠償の請求もされない。



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