宅建試験勉強 担保物権・抵当権・根抵当権・留置権・先取特権・質権

担保物権・抵当権・法定地上権・根抵当権・留置権・先取特権・質権 民法等の法律テキスト

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担保物権・抵当権・法定地上権・根抵当権・留置権・先取特権・質権 について


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契約を実現する段階の問題(売買契約時) 7

抵当権等 ~債権回収の手段 ①~

抵当権などの担保物権

担保物権の種類

一定の場合に法律によって 成立するのが 法定担保物権。「留置権・先取特権」

当事者の契約によって 成立するのが 約定担保物権。「質権・抵当権」


●担保物件の性質

債権の確実な回収を図るため 債権を担保するため 抵当権などの担保物権の設定を受ける。

担保物権の共通の性質には 4つある。

ア、付従性(ふじゅうせい)

債務の弁済と 抵当権登記の抹消は 同時履行の関係にない。

債権の弁済が先履行。なお 担保される債権のことを 被担保債権という。


イ、不可分性(ふかぶんせい)

債権の全額が弁済されるまで その担保の目的物の全部について

担保物権が 存続するという性質のこと。


ウ、随伴性(ずいはんせい)

債権が移転すれば それと一緒に担保物権も 移転する性質のこと。


エ、物上代位性(ぶつじょうだいいせい)

抵当権の目的物である家が火事で滅失した結果

抵当権者は 火災保険金請求権に対して 担保の効力が及ぶ性質のこと。

物上代位の対象となる権利としては 目的物が売却された場合の 売買代金請求権

それが賃貸された場合の 賃料請求権などもある。 そして物上代位するためには

保険金などが支払われる前に 差し押さえることが必要である。


担保物権の対抗要件

担保物権も物権ですから 留置権を除いて

第三者に対抗するためには 登記が必要になる。



抵当権

抵当権とは 債務者などが担保に供した不動産を その手元に残したまま

債務の弁済がないときは 競売に出すなどして 抵当権者が

その競売代金などから 他の債権者に優先して

債権の回収を図ることのできる 担保物権のこと。


お金を貸した方の債権者は 抵当権者という。

お金を貸してもらった方の債務者は 抵当権設定者という。


抵当権の設定

●抵当権の目的物

民法上 抵当権の目的物となり得るものは 不動産地上権永小作権の 3つ。

●抵当権設定契約

抵当権の設定契約は 諾成契約であり 抵当権者と抵当権設定者の合意によって行う。

●対抗要件として登記

第三者に対抗する抵当権の対抗要件は 登記なので抵当権の順位も 登記の順番による。

なお この抵当権の順位は 各抵当権の合意で変更できるが

その際は利害関係の承諾が必要になり 登記をし直すことで効力が生じる


抵当権設定の不動産の使用・収益

抵当権が設定されても 抵当権実行までの間 この不動産を使用できる。

また この建物を他に貸して賃料を受け取るなど 収益を得ることもできる。


●抵当不動産の処分

抵当設定者は 抵当権者の承諾を得ることなく 抵当不動産を譲渡できる。

●買主の代金支払い拒絶権・費用償還請求権

建物に設定された抵当権の登記が 契約の内容に適合しないものであれば

抵当権消滅請求の手続が終わるまでは 代金の支払いを拒絶できる。

●抵当権侵害

抵当権が設定されている以上 建物を壊すことはできない。それにもかかわらず

破壊行為に及んだ場合は 抵当権の侵害として抵当権者は 破壊行為を差し止めできる。


抵当権の実行

抵当権の効力が及ぶ 目的物の範囲

抵当権者が抵当権の実行の際に 競売に出すことができるのは 3つ

ア、土地と建物

土地と建物は別個の不動産だから 建物だけに抵当権を設定した場合は 土地にはその効力が及ばない。

イ、不可一体物(ふかいったいぶつ)

抵当不動産と それに付加して一体となった物には 付加されたのが抵当権の設定の前後を問わず 原則としてその効力が及ぶ。

ウ、従物、従たる権利

土地上に設置されている動かすことができる庭石や石灯籠などを その土地の従物という。


抵当権設定当時に存在した従物については原則として 抵当権の効力が及ぶ

逆に抵当権設定後の従物には 効力が及ばない

抵当権設定当時にあった賃借権などの 土地利用権に対しても 抵当権の効力が及ぶ


被担保債権の範囲

抵当権によって担保される被担保債権の範囲は原則として

元本のほか利息その他の定期金や 損害金などにつき 最後の2年間に限られる。

ただし特別の登記をした場合は別。

また他に後順位抵当権者などの利害関係者がいないときは 2年分に限定されない


法定地上権

社会経済上の不利益を防止するため

建物のために土地の利用権が成立すると規定した。これを法定地上権という。


●法定地上権の成立要件

次の3つが すべてそろって成立する

ア、抵当権設定当時に 土地の上に建物が存在し 土地と建物が同一の所有者である。

イ、土地と建物の一方または双方に抵当権が設定してる。

ウ、抵当権の実行によって 土地と建物が別々の所有者になった。

このような 3つの要件が すべてそろって法定地上権が成立する。


一括競売

民法では 抵当権者の利益を考えて 土地に抵当権を設定した当時は更地

その後 建物が建てられた場合 抵当権者は 土地と建物を

一括して競売にかけることができると規定してる。これが一括競売という。

ただし 建物の競売代金から優先弁済を受けることは 当然できず

優先弁済を受けられるのは 土地の代価からだけになる。


●賃貸借の保護

抵当権設定登記後の賃貸借は その期間の長短を問わず

たとえ登記などの対抗要件を備えたとしても原則として

抵当権者や買受人に対抗できません。

抵当権と賃貸借の関係は対抗問題であり 対抗要件の順番で見ると

賃借権は 抵当権よりも後回しになる。


しかし 登記した賃借権であり

賃貸借の登記前に登記したすべての抵当権者が同意をし

その同意の登記の 3つがあると

その同意した抵当権者や競売による買受人に対抗できる。


また 直ちに追い出されるのは酷だから 抵当権者に対抗することができない賃貸借で

競売手続きの開始前から建物を使用・収益をする者等は原則として 競売に出された場合

買受人が買い受けた時から6ヶ月経過するまでは その建物を引き渡さなくてもいい。


●第三取得者の保護

元々抵当権が設定されている物を取得した人を 第三取得者という。

第三取得者の保護を図るために設けられている

代価弁済と 抵当権消滅請求という制度がある。


代価弁済とは 買い受けた人が その代価を抵当権者の求めに応じて支払うこと。

それによって 抵当権を消滅できる。

抵当権消滅請求とは 所有権を取得した第三取得者から「抵当権を消滅させてほしい」と

書面を送付して抵当権者に要求し 登記したすべての債権者の承諾を得た額を支払えば

抵当権を消滅できる。


根抵当権

特定の債権を担保する普通の抵当権とは異なり それらの当事者間において生じる

一定の範囲に属する不特定の債権を あらかじめ定めた限度額極度額)までは

担保するという特殊な設定を 根抵当権という。


被担保債権とは 債務者との一定の種類の取引によって生ずる債権などに限定される。

したがって債務者に対するすべての債権を担保するという 包括根抵当は認められない。

さらに 根抵当権の場合は法律関係が複雑になるから

元本確定前に個々の被担保債権が譲渡されても 根抵当権は随伴しない


極度額とは 根抵当権は当事者が定めた限度額 つまり極度額の限度内で担保設定する。

極度額1億円の範囲内なら 利息は2年分に限定されない。

元本確定後なら根抵当権設定者は 目的物の余っている担保価値を有効に使うため

極度額について 減額請求できる。


元本の確定とは 担保される元本が一定のものに特定されること。

確定期日を定めない場合は 例えば根抵当権設定者は

根抵当権設定の時から3年経過すると 元本の確定を請求でき

その請求から2週間後に元本が確定する。



留置権(りゅうちけん)

留置権とは 例えば 時計の修理を依頼すると 修理代金という債権を取得する。

修理代金債権は 時計を修理するという行為によって 物(時計)から生じた債権。

もし修理代金を払わなかったら この時計の返還を拒むことができる。


このように間接的に強制できる 公平の見地から認められている権利。

なお 留置権には 抵当権のような優先弁済的効力はない


先取特権(さきどりとっけん)

先取特権とは 例えば 家の修理を依頼された工務店が

注文者に対して100万円の修理代金債権を取得した場合。

もし修理代金を支払わなければ この家を競売に出して

競売代金から100万円を回収できる権利。

つまり抵当権と同じように優先弁済的効力がある


質権(しちけん)

質権とは 質屋を考えてもらえば解りますが 例えば

自分の宝石を質屋に持って行ってお金を借りる。担保として宝石に質権を設定する。

その結果 質屋はお金を返金してもらうまで宝石を預かることになる(留置できる)


もし お金を返金しない場合は この宝石を競売に出して

その競売代金から債権を回収できる(優先弁済的効力)。

これが質権である。つまり要物契約になる。



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